「オリジナルミュージカル『前を向いて』」のこと。

1年前の2月に、はたなか圭一さんのワンマンライブを観に行ったときに、

ミュージカルの作演出をしているお知り合いの方と久しぶりにお会いしたのですが


そのときに僕の顔を見て「ああ!!!!」と、割と大きめな声で言ったのが、ちょっと印象的でした。笑


「今、新作のミュージカルの脚本を書いているんですけど、その中のひとつの役だけ、ハマりそうな人が見つからなかったんですけど、今、玲くんの顔を見たら、イメージがパッと一致しました!ぜひ出てほしいです!!」と言われたのが最初でした。


そのときに「震災を経験した高校生で、絵描きになりたい男の子なのだけど、たぶんちょっと障害を持っていて、でも、それを、わざとらしくなく演じられる人がいいんです。誰かいないかなあって思ってたんですよ」と言われ、


そんな難しいこと僕にできるのだろうか…と思ったけど


彼は「なんか、できそうです!!玲くんなら、できそう!!絶対いいと思うなあ!」というテンションでした。


何を根拠に…?


と思いつつも、

後日、本当にオファーの連絡を頂いたので、トライしてみようと思いました。



実際、出演者の方々は、はたなか圭一さん以外は、初対面。

しかも、普段からミュージカルをやられている方々ばかり。


今思えば、もしかしたら僕が一番ミュージカルの経験が少ないかもしれません。


でも稽古のペースは早くて、本当についていくのが大変でした。


しかし、稽古を重ねていく中で、少しずつ作品の全体像とケンタの人物像を掴めるようになってきました。



今回の作品の難しいところは、直接的な描写が少ないところだと思いました。


震災を経験した学生であり、家族を失くしている人だったりするわけだけれども、実際に地震に遭うシーンや津波から逃げるようなシーンはない。


けれど、

直接的なシーンがなくとも、実際にそういうことを経験した人を表現しなくてはいけないっていうところが役者としては、めっちゃくちゃ難しい課題だったと思います。



役のイメージを膨らませるために、被災者のドキュメンタリーの動画などをみたりしたけれど、

やっぱりみているのが、めちゃめちゃ辛い。


そのストレスに耐えながらも、動画を見たし、
もちろん知っておかなければならないこと、

逃げてはならないことなのかもしれませんが


今回の作品においては、
そういったストレスがなく見れるミュージカルになっているところも、ポイントなのかもしれないな、と思います。

それが震災から10年経った今だからこそ、できるポジティブな物語、
なのかもしれないな、という気持ちです。


ケンタという人物は、とても独特で、その独特さを表現することが、難しかったのですが

基本にあるのは、
絵を描くことで現実から逃避できるっていう部分で、
そこをしっかりおさえておけば、変な行動も腑に落ちるような気がしました。

どこか不自然を抱えつつも、嘘っぽくなく演じるってむずかしくて、自分の中で無理がなくナチュラルにやれる状態になるまで、すこし時間がかかりました。

でも、観ていただいた方にも、自然だった!本当にいそうな感じがする!と言っていただけたので

求められていたとおり、
わざとらしくなく演じられたのかな…?と思いました。笑


ただ、
僕はここ数年、映像をメインにやってきて、まがりなりにも、プロの現場で、プロの役者さんとも、ご一緒させていただいたり

それなりに、様々な修羅場を乗り越えてきましたが

乗り越えてきた分、きっとこういう場でも、その力を発揮できている部分もあるのかもしれないなと思いますし

それが、役者としての価値になると信じています。


特にテレビドラマやバラエティ番組の再現VTRなどに出演すると

たくさん映っていることや、有名な作品や有名なキャストさんと関われることに対して「すごいね」と言われることも多くて、

もちろん、それも、ものすごく有難い機会だと思いますが、

そこではなく、

きちんと自分の演技やパフォーマンスに対して「すごいね」と言っていただけるように実力をつけていきたい、と最近は思うようになってきました。


演技者として表現・パフォーマンスできる場があるというのは、本当に有難いことですし

自分の持ってる能力を活かせる場があることはとても嬉しいです。

ましてや、このコロナ禍で舞台をやるのも大変な時に。

そして、それを様々な方々に観ていただけたことが嬉しかったです。

中には、海外から観てくださった方もいて、これはオンラインの強いところだなとも感じました。


余談ですが
今回の2部で「花は咲く」を全員で歌ったとき

10代のときに、NHKの紅白歌合戦のバックコーラスでこの曲を歌ったことを思い出しました。

そのときの歌唱指導の先生に、
景色を想像しながら表現することや、相手の顔を思い浮かべながら歌うことの大切さなどを教えていただいたことを改めて思い出しました。

今の自分にも間違いなく生きている経験だと思っていますし、もしかしたら人生最大の経験だったかもしれないとも感じています。

このタイミングで、またこの曲を歌えてよかったなあ。


「前を向いて」
いつかお客さんの前でやれる日が来てほしいです。

改めてご覧いただきました皆様、
ありがとうございました。

[今後の活動予定]
《テレビ》
3月28日 最初の企画書見せてください@NHK BS4K














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